1989年から島根県出雲市長を2期務めた岩國哲人さんが、最近87歳で亡くなった。
テレビ解説や雑誌で何回かお見受けしたことは覚えているが、彼に絵本と関連するとは思いもよらなかった。
岩国さん自身の少年時代の新聞配達を回顧した内容の絵本だったが、一読して大変に心動かされたのでここに紹介する。
新聞配達先の三原さんという老夫婦の処で毎日、新聞を読ませてもらっていた岩國少年は、おじいさんが亡くなった後もおばあさん独りになった三原家で、それまでどおりに新聞を読ませてもらっていた。
その後しばらくして優しかったおばあさんも亡くなってしまうのだが、岩國少年はその時に初めて、三原のおばあさんは実は字が読めなかったという事実を知ることになる。
おばあさんはおじいさんが亡くなった後にも、ただ岩國少年に新聞を読ませてやりたいという一心で、新聞購読を続けてくれていたという内容だ。
その当時の時代背景や雰囲気、人情、社会状況が思い浮かんでくる絵本だ。
心温まる内容に思わずほっと安堵する自分自身。同じように新聞配達をしていた、わたし自身の少年時代が蘇ってきた。(りゅう)
コメント