楽しい空港



一般的に乗換えの待ち時間ほど退屈なものはない。だが時には例外もあるということを、今回の旅では福岡国際空港に教えられた。

リニューアルなった福岡空港は久方ぶりに降りたってみると、実に活気に溢れ、オシャレで楽しい空港だった。レストランは安価で多様で、何より美味しい。土産ものも地方色豊かでありながら、どことなく洗練されていて、気がきいている。市内へのアクセスが便利なだけでなく、北海道の千歳空港と並ぶ、知る人ぞ知る人気のある空港だそうで、それは
伊丹や成田、関空をも凌ぐというのにも納得がいく。

乗り継ぎの待ち時間が4時間近くもあると分かり、当初はどう時間をつぶそうかとウンザリしたが、実際には少年時代に戻ったように、退屈する間もないほど素敵な空港時間を、存分に味わい楽しんだ。

離島に向かう搭乗口82番はちょうど一階に位置していて、正確に数えてはいないが、わずか10分あまりの間にも数機の離発着が繰り返されていた。
目の前の巨大な機体の動きに、子供に返ったように眼を輝かせて高揚しているのが、自分自身でも不思議だった。僕と飛行機の間を右に左にと蠢く貨物車や特殊自動車、バイクや自転車を眺めて、まるで飽きないのだ。乗り物のパレードを特等席から見物する観客になった気分だった。幼い頃にこんな光景を見ていたらどんなに良かっただろうと思いながら、一見無駄にしか思えぬ、ゆったりした待ち時間の効用も満更でもないと実感した。飛行機の無事な運航に携わる多くの人びとの姿をかいま見たようで、それぞれの持ち場での尽力にも感謝したことだった。(龍)




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