正月元旦






30年以上前に、遠藤周作は「変わるものと変わらぬもの」というエッセイの中で、正月の様子の変わりようと変わらない様を描いていた。

周作さんがまだ若かった30年前も今も、変わらぬものは初詣の賑わいであろう。

元旦、今年は初詣の代わりに太平洋の大海原へ足を伸ばしてみた。空はどこまでも青く澄みわたり、波はこれまで見たこともないほど力強く白い波濤を見せて輝いていた。時刻は午後4時前。
砂浜で凧揚げする親子や、愛犬と散歩をする家族連れ。砂遊びに興じる子ども、サーフボードで波と戯れるサーファーたち。
僕は海に向かって、新年の空気を身体中に吸い込むように、思い切り気持ち良く深呼吸をした。
後で知ったことだが、ちょうどその頃、能登半島では甚大な被害をもたらす大地震が起きていた。しかも東日本大震災を彷彿させるような大きな津波が、地震発生とほぼ同時に発生し陸地に襲いかかっていた。
月並みではあるが、美しい自然は一瞬にして恐ろしい魔物にも姿をかえる表裏一体のものだという事実を、改めて思い知らされる元日であった。(龍)






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