現実

 韓国の出生率が、とうとう0・72パーセントになってしまったという。先進国ではどこも軒並みの減少傾向だが、流石にこの急激な減少スピードには危機感というより「どうして?」という想いが募る。日本でも、現在の出生率は1・23パーセント。政府の予想計算より10年早く下がってしまったという。結婚しない男女、結婚しても子供が欲しくないという人々、事実婚はしても結婚はしないというカップル、一方では、夫は要らないけれど子供だけは持ちたいというシングルの女性や、同性婚の親もいる。
 結婚するのは動物界の当たり前、結婚したからには子供を持つのは当たり前と受け入れてきた世代としては、若い人たちの選択に介入はできないまでも、やはり戸惑い残念に思う気持ちがある。子育てに苦労はつきものだが、それ以上に理屈抜きで新しい命の誕生と、その成長というドラマはあまりにも素晴らしく、人として生まれたからには、ことに女性には我が身から命を育むという経験をしなくてはもったいなく、ぜひ産んでしてほしいという気持ちがある。
 子供を持たないと決めた人たちの理由の筆頭には、生まれた子供を不幸にしたくない、また子供を持つことで、自分の生活から奪われるものが多く、今の生活を犠牲にしたくないというはっきりとした意思があるらしい。つまりそれほど現代というのは経済格差や競争で、親にも子にも生き延びるのことが過酷で厳しく、一人の赤ん坊の未来を健やかで明るいと信じることができない不安な世界だということなのだろう。子供を持ちたくないというのは、女性たちの「本能的なストライキ」なのかもしれない。
  
 ガザで、イスラエル軍の砲撃によって殺された人数は5ヶ月間で、約3万6000人。約6割は女性と子供だという。戦闘に巻き込まれての爆撃死を想像していたが、実際には逃げまどう中で水や食料を断たれての病気や餓死が思いの外に多い。ある朝の報道番組で、枯れ木のようになった小さな手をお母さんに握られた、すでにミイラのようになった赤ちゃんが息絶えていく画像を初めて見て、その母たる人の悲しみと小さな命の哀れさが胸に迫り、それから私は何日も眠ることができなかった。 正義や平和冠して、誰が何をどう言い繕い正当化しようと、イスラエルは間違っている。

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